草原のドラゴンと少女
エオスフェアの端に広がる青々とした草原地帯。そこには、風に揺れる長い草の間からぽつりと小さな村が顔を出していた。
その村に、リズという女の子が住んでいた。リズはいつも元気で好奇心旺盛、特にドラゴンのことに興味があった。村の伝説によると、近くの山に大きなドラゴンが住んでいるという。みんなは「ドラゴンなんておとぎ話だよ」と笑っていたが、リズは本気で信じていた。
ある朝、リズはお弁当を持って、意気揚々と村を出発した。
「ドラゴンに会いに行くんだ!」
彼女はそう言って、山道を駆け上がった。やがて草原が終わり、岩がごろごろと転がる道が見えてきた。
頂上に着くと、そこには想像を超えた大きな影が横たわっていた。なんと、それは本当にドラゴンだったのだ!ドラゴンは銀色の鱗を輝かせ、昼寝をしているようだった。
リズは興奮を抑えきれず、思わず声を上げた。
「ドラゴンさん!初めまして!」
ドラゴンはゆっくりと目を開けた。大きな琥珀色の瞳がリズを見つめる。しばらく無言のまま、ただ彼女をじっと見つめていたが、やがて低く唸るように声を出した。
「人間の子か。どうしてこんなところに?」
リズは胸を張って言った。
「あなたに会いに来たの!村ではあなたはただの伝説だって言われてるけど、私は信じてたの!」
ドラゴンは驚いたように眉をひそめる。
「私を怖がらないのか?」
「全然!むしろすごくかっこいいと思うよ!」
その言葉にドラゴンは少し照れたのか、ふと視線を逸らして低く笑った。
「なるほど、面白い子だな。ならば、少しだけ話をしようか。」
リズは嬉しくて、石の上に座り、ドラゴンとおしゃべりを始めた。彼は昔話が得意で、遥か昔に空を飛んだ時の話や、宝物を守っていた時の話を次々と語った。リズは目を輝かせ、耳を傾けた。
やがて夕方が近づき、リズは帰らなければならなくなった。
「楽しかったよ、ありがとう!」と礼を言うと、ドラゴンはしっぽをそっと振り、微笑んだ。
「また来るがよい。ここにいれば、いつでも待っている。」
リズは元気に手を振り、山を下り始めた。
その後、リズは何度もドラゴンのもとを訪れ、ふたりは大の仲良しになった。村の人たちは知らないが、彼女には誰にも言えない「秘密の友達」ができたのだ。
ドラゴンもまた、リズが来るのを心待ちにしていた。だって彼もまた、あの小さな人間の友達とのおしゃべりが、何よりも楽しかったのだから。
ふたりの間には、言葉にはならないけれど、暖かい絆が芽生えていた。

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